伊良部とうがに



宮古島を代表する叙情歌「伊良部とうがに」。仲本光正代表が愛してやまないこの曲は、聴く者の心を揺さぶる深い情念と哀愁に満ちた名曲です。
「伊良部とうがに」とは?
「伊良部とうがに」は、宮古民謡の中でも特に情歌として知られ、沖縄本島の「ナークニー」、八重山の「とぅばらーま」と並び称される存在です。 その発祥には諸説ありますが、伊良部島に古くから伝わる歌で、唄の名手であった「唐金(とうがに)」という人物が歌っていたことが名前の由来とも言われています。
この歌の大きな特徴は、即興で歌われる叙情歌であることです。自然、恋愛、親孝行、教育、情けといったテーマを、その場の感情に乗せて歌い上げます。 特に、男女の情愛を歌ったものが多く、その情熱的な歌詞と哀愁を帯びたメロディが、聴く者の胸に深く染み渡ります。
歌詞に込められた想い
代表的な歌詞には、かつて橋がなく、船でしか行き来できなかった伊良部島と宮古本島の男女の、もどかしくも切ない恋心が描かれています。
伊良部島と平良との 僅かな間に
渡る瀬が 休む瀬が あればよかったのに
この一節からも、会いたいのに簡単に会えない二人の距離と、寄せる想いの強さがひしひしと伝わってきます。伊良部大橋が開通した今となっては、この歌詞に込められた本当の意味での切なさを体感することは難しいかもしれません。しかし、美しい伊良部大橋を眺めながらこの歌を聴くと、当時の恋人たちの情景が目に浮かぶようです。
「とうがに」の意味
「とうがに」という言葉の正確な意味は、はっきりとは分かっていません。 人名「唐金」から来たという説のほか、美しい音色を意味する「唐ヶ音(とうがにぃ)」に由来するという説もあります。 また、伊良部とうがにとは別に、祝宴の座開きで歌われる「とうがにあやぐ」という曲も存在します。
未来へ歌い継ぐ
伊良部島では、この「伊良部とうがに」を後世に継承するため、毎年「いらぶトーガニー大会」が開催されています。 子供からお年寄りまでが参加し、島の宝であるこの歌を歌い競い、その伝統を守り続けています。
仲本光正代表がこの曲を愛する理由は、その美しいメロディだけでなく、宮古の風土や人々の心、そして先人たちの情念が深く刻まれているからなのかもしれません。クイチャーパラダイスでも、この素晴らしい「伊良部とうがに」を大切に歌い継いでいきたいですね。